抽象アートを通して自分と向き合う
アウグステ・ルーは、私たちが生きているあいだに見過ごしてしまうものを描く。
アウグステ・ルー(Auguste Lu/Augustė Lubickaitė)は、リトアニア・クライペダ出身、日本・横浜を拠点に活動する現代美術家。
彼女の作品は、水の流動性と幾層にも重なる空気感を特徴とし、私たちが生きているあいだに見過ごしてしまうものを問いかける。自分の中に抱える矛盾、記録されなかった日常のひととき、世界の速さに押し流される内なるリズム。クラシック音楽と美術を学んだ経験を礎に、視覚的な直感と同じように、音楽の構造が作品の構成や、そこに込められた問いをかたちづくっている。
床に置いたキャンバスに、手を使って描く。身体の動きに呼応するように、水とアクリルインクを流し、さらに木炭やパステルで表面に線を重ねていく。
異なる文化のあいだを移り住んできた経験を背景に、彼女の絵画には、リトアニアの田園に立ちこめる霧と、日本の美意識が持つ澄んだ余白が共存する。そこから生まれる抽象表現は、自然の根源的な力を感じさせる。静けさのなかに緊張感があり、開かれていながらも精緻である。その余韻のある表現は、単なる様式上の選択ではない。鑑賞者自身の記憶が作品の中へと入り込むためのものである。
これまでに東京、横浜、名古屋で個展を開催し、東京アメリカンクラブ内のフレデリック・ハリス・ギャラリーでも作品を発表。リトアニア代表としてPre-Expo Kyotoに参加した。
Latest collection
DUALITY: our divided selves
オーガステ・ルーの自己探求の旅に着想を得た作品の一つひとつには、個人の成長を形づくる葛藤と調和が映し出されています。
作品と向き合うことで、鑑賞者は人間の持つ複雑さや多面性を讃える物語の一部となり、芸術と人生をつなぐ対話をより豊かなものへと育んでいきます。